死に体だが、大きくてつぶすこともできない

中国や欧米諸国で、大手不動産関連企業の破綻が続いている。中国では、碧桂園(カントリー・ガーデン)のドル建て社債がデフォルトに認定された。恒大集団(エバーグランデ)の経営再建も事実上の行き詰まりだ。現在、債務再編に関する協議は難航しており、香港の高等法院は同社に対する清算申し立ての判断を2024年1月に先送りした。大きくてつぶせないものの政策的な対応も難しい。手詰まり状態だ。

中国安徽省阜陽市にある碧桂園(カントリー・ガーデン)の住宅=2023年8月16日
写真=CFoto/時事通信フォト
中国安徽省阜陽市にある碧桂園(カントリー・ガーデン)の住宅=2023年8月16日

欧米では、オーストリアの大手不動産企業、シグナ・ホールディングスが破綻を申請した。米国では、一時、高い成長期待を集めたシェアオフィス大手ウィーワークが破綻した。海外の大手不動産企業の経営悪化、デフォルトリスク上昇や破綻の影響は、わが国にも波及し始めたようだ。今年の夏以降、海外の大手投資ファンドは保有してきた都内のオフィスビルの売却に動き始めた。

コロナ禍をきっかけに、“テレワーク”は当たり前になった。世界的にオフィスの空室率は上昇傾向だ。世界的に物価も高止まりしている。11月、主要先進国の金利上昇は一服したが、米欧の中銀が利下げを実施するか否か不透明だ。住宅市況も含め世界的に不動産市況は悪化することが懸念される。景気の足を引っ張ることも懸念される。

中国国内だけで500社近くの企業が破綻

足許、経営悪化に陥る大手不動産企業は増加している。報道によると、2019年、中国では500社近くの不動産業者が破綻したという。2020年1~2月だけでも、100社程度が破綻した。足許、カントリーガーデン、エバーグランデ、融創中国(サナック)、万達集団(ワンダ・グループ)など、大手不動産デベロッパーの経営不安は大きく高まった。事実上の破綻に近い状態にある不動産企業も多いようだ。

米国でも商業用不動産市況の軟化懸念が高まった。2023年3月、シリコンバレー銀行などの中堅銀行が破綻したことは大きかった。銀行は、与信審査の基準を引き上げた。多くのITスタートアップ企業は資金繰りのためオフィスの賃貸契約を解除し、事務所向けの不動産需要は減少した。11月、賃料の減少などによる業績悪化懸念の高まりからウィーワークは経営再建をあきらめ、経営破綻した。