つじつまの合わない「部分開業」を訴える川勝知事
今回の12月県議会で、川勝知事は、リニア問題の解決策について、「『部分開業』をJR東海は目指していくべきだ」と発言、事務方は県の公式見解としてしまった。すなわち、静岡以東の品川―山梨間を先に開業させればいいというものだ。
もともと川勝知事は、「静岡工区のリニア問題の解決ができないならば『部分開業』を考えろ」と主張していた。
それなのに、リニア問題の解決策を「部分開業」としてしまったのだ。「静岡工区のリニア問題の解決」が「部分開業」ではつじつまが合わない。
つまり、「部分開業」とは、川勝知事の「頭の中の思いつき」をそのまま発言した、リニア問題の解決策でも何でもない無責任な主張に過ぎない。
JR東海は14日、もともと2027年としていた東京・品川―名古屋間の開業を、静岡工区の未着工を理由に「2027年“以降”」に変更すると発表した。
この発表の最も重要な点は、「2027年のリニア開業ができないのは、川勝知事が着工を認めないためである」ことを明確にしたことである。
「リニアは遊園地の電車じゃない」と苦言
川勝知事の「部分開業論」には以前から批判が集まっており、神奈川県の黒岩祐治知事は「リニアに乗ってみたいという人は乗るかもしれないが、遊園地の電車ではない」と苦言を呈していた。JR東海の丹羽俊介社長も21日の会見で「部分開業を行う考えはない。現実的ではない」とした。
このままJR東海が川勝知事と対決姿勢を強めるためには、森下部会長による専門部会の開催を求めて、そこでさまざまな問題を追及したほうがいい。
静岡県のリニア問題は、2017年10月、川勝知事が「あたかも水は一部戻してやるからともかく工事をさせろという態度に、わたしの堪忍袋の緒が切れました」と爆発したことから始まり、その後、JR東海との協議は全く進展していない。
水資源保全の解決策・田代ダム案などは宙に浮いたまま、2024年を迎える。つまり、静岡県のリニア問題は、解決の兆しのないまま7年目に突入する。