子供の宿題を気にかけるのは単なる「干渉」

さらにいうと、そういう親御さんはプライドが高くママ友が少ないという人が多い。自分の子供よりもママ友の子供のほうが優秀かも、なんて耐えられないですから、自然と交流がなくなり孤立していくようです。

子育て科学アクシスに来られる親御さんの相談でもっとも多いのが、「子供が宿題をしない」ということですが、そもそも親が子供の宿題を気にかけるのは「干渉」以外の何物でもありません。宿題とか勉強は、子供が自らやるべきもの。

「これ、もっと知りたい」「これ、どうなっているの?」「これ、次はどうなるんだろう?」。そうした子供の自発的なやる気がまずあって、そこからすべきことなのです。「からだの脳」がしっかり育っていれば、早い遅いの違いはあっても、自ら勉強する日が必ずきます。

ちなみに、うちの娘は中3でした(笑)。さらに言えば「学校生活」全般に、親がかかわる必要はありません。義務教育までは、親には子供を学校に入れる責任がありますが、学校の中での生活に関しては、子供の責任で過ごすべきです。

うちの娘も忘れ物が多くて、「忘れ物大王」なんて異名をつけられていました。先生から私に、「○○ちゃんの忘れ物、何とかなりませんか」と再三言われたものですが、「すいません、ご迷惑をおかけして」と謝って、それでおしまい。

親が気にかけるべきは、「家庭生活」です。寝て、起きて、食べるという「生活リズム」を整えること。社会の最小単位である家の中で「コミュニケーション力」をつけること。家事を役割分担して「自分のタスクを遂行する力」をつけること。家庭生活の中でこれらができるようになれば、どんな場所でも、どんな環境でも、元気に生きていける子になります。

生活リズムとは、「起きて、食べて、排せつして、寝る」ということ。5歳までは原始人の生活リズムで、小学生以上になっても「睡眠時間」を最優先させること。

コミュニケーション力については、「ありがとう」「ごめんなさい」を家庭内で徹底させることです。そして自分ができないことは「助けてください」とお願いすれば、世の中のたいていのことはうまく回ります。

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子供に、お手伝いではなく役割を持たせることも必要です。わが家では、娘が2歳くらいから、自分の洗濯物を自分の収納場所に自分でしまう、という役割を持たせました。

5歳くらいからは、セラミックの包丁を持たせて、簡単な料理もさせました。親が外で働いて、お金を稼いでくるから、子供はご飯を食べられるわけです。子供が先に家に帰ってきたら、できる家事をやっておくのは当たり前。特に料理は段取り力が必要ですから、脳の前頭葉をものすごく使うので、脳の働きがよくなります。

「親が帰ってきたら、あたたかいみそ汁がすぐに食べられるように、みそを入れる前まで作っておこう」

これを毎日やっていれば、計算問題を解くよりもよほど賢い子に育ちます。それなのに塾や習い事といった家庭外のことを優先させて、家のことは忙しい親(特にお母さん)が全部やって疲弊してしまう。もったいないの極みです。

1銭も稼がないどころか消費するばかりの子供を家庭の中心にしている親は、けっこういます。主従関係が逆転しているのです。年齢的にも能力的にも経済的にも親が上で、子供が下です。「家庭生活」の中で、そこをしっかり踏まえながら、子育てしたいですね。