利他性ナッジで人の「美しい心」に訴求する

ナッジ● 壁に「外国のお客様にトイレがきれいだと褒められました。皆様のお陰です。ありがとうございました。」と張り紙をした(図版3)ところ、トイレを汚す人が減りました。
図版3:トイレの張り紙(写真提供=まきば寿司)
竹林正樹『心のゾウを動かす方法』(扶桑社)

地元の寿司屋のトイレを皆がきれいに使った結果、外国の人に褒められた――これは地元住民としてのアイデンティティがくすぐられ、誇りに思う瞬間です。「このトイレはきれいに使われていることで注目されている。もしも自分がトイレを汚して、次のお客様をがっかりさせてしまったら……」と考えるということはしたくないものです。このような美しい心に訴求した設計(利他性ナッジ)です。

大小兼用の洋式トイレでは、男性は、つい立ったまま小用をしたくなることがあります。しかし、それでは掃除をする時に大変になります。座って用を足すようにするため、我が家ではナッジを用いました。

ナッジ● 便器の後方の壁に目のイラスト(図版4)を掲示したところ、座って用を足すようになりました。
図版4:トイレの壁のイラスト(出所=『心のゾウを動かす方法』)

このイラストと目が合ったまま用を足すのは不快なもので、どんなに寝ぼけている時でも私は必ず座るようになりました。

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