※本稿は、橘玲『人生は攻略できる』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。
宝くじ1等に当たる確率は交通事故死の700分の1
君がこれから社会に出てお金を増やそうと思ったとき、これだけは知っておいてほしい3つのことをざっと書いておこう。
①宝くじは買わない
②マイカーもマイホームもいらない
③ウマい話は君のところにはぜったい来ない
1枚300円で買えるジャンボ宝くじの最高当せん金額は1等と前後賞を合わせて10億円だ。わずかのお金で大きな夢が買えるのだから、こんな素晴らしいことはない――。そう考えるひとたちが、宝くじ売り場に行列をつくっている。
でもここでちょっと立ち止まって、当せん確率を計算してみよう。1ユニットが2000万枚で、1等7億円は1ユニットに1枚だから、首尾よく連番で買ったとしても、10億円が当たる確率は最大で2000万分の1だ。宝くじを毎回3万円分、0歳から100年間購入したとしても、99.999%の購入者は生涯当せんすることはない。それに対して、日本で1年間に交通事故で死亡するのはおおよそ3万人に1人だ。
宝くじは「愚か者に課せられた税金」
宝くじで1等が当たる確率は交通事故死の約700分の1。ということは、宝くじを20万円分買って、ようやく1年以内に交通事故で死ぬ確率と同じになる。宝くじ売り場に並んでいるひとが経済合理的であれば、自分はもうすぐ死ぬと思っているのだ。
一方、日本の宝くじの期待値(還元率)はおよそ50%で、これは宝くじ代金のうち、賞金として払い戻されるのが半分だけということだ。残りの半分は販売経費を差し引いたうえで地方自治体に分配される。
ラスベガスのルーレットの期待値は95%、カジノでもっとも人気のあるバカラの期待値は99%、競馬などの公営競技でも期待値は75%ある。期待値が50%を下回る宝くじやサッカーくじは、世界でもっとも割の悪いギャンブルだ。