不動産の営業マンは「性善説」の例外
ぼくは、はじめてのひとに会ったときは、性善説で信用することにしている。実際にとてもいいひとで、何十年もつき合いがつづくということはいくらでもある。ウソをついていることがわかったり、話がぜんぜんちがっていれば、「そういうひとなのか」と思ってつき合うのをやめればいいだけだ。
でもこの性善説には、ひとつ例外がある。それが不動産や金融関係の営業マンだ。
ほんとうに掘り出し物の物件なら、一人ひとり顧客を訪ねて営業なんてしないだろう。ネットでちょっと告知すれば、「買いたい!」というひとがいくらでも現われるのだから。それをわざわざ、「あなたのためです」なんていうのは、なにか裏があるに決まっている。――事情があって相場よりずっと安い価格で実家の不動産を売りに出した知人がいるけど、不動産業者はそれを懇意にしている顧客にだけ案内し、いちばんいい物件は自分で買った。
ウマい話はすべて無視すればいい
「ビルから飛び降りろ」「オマエの家族を皆殺しにしてやる」の銀行から多額のお金を借りてシェアハウスに投資したひとたちがいま、自己破産の瀬戸際に立たされている。被害者の多くは30~50代で、一流企業でそれなりの地位にある高収入のサラリーマンや医師が目立つという。でもこれは当たり前で、それなりの社会的な地位がなければ、銀行は大きなお金を貸してくれない。
このことは、「頭が悪いからだまされる」わけではないことを教えてくれる。だまされてヒドい目にあうのは、中途半端に頭のいいひとたちだ。自分に自信があると、「特別な自分には特別なチャンスが来て当たり前」と思ってしまうのだ。投資詐欺の世界では、こういうひとがいちばんのカモだとされている。
悪徳営業マンにだまされて全財産を失うようなことにならないためには、どうすればいいだろうか。その鉄則はとてもシンプルだ。
ウマい話は、君のところにはぜったいこない。ほんとうにウマい話なら、自分で投資するに決まっているから。
だから、ウマい話はすべて無視すればいいのだ。