育児と介護は違う

一方、ビジネスケアラー予備軍の人にも課題があります。

まだ介護について理解が進んでいない人と話をしていて、驚かされることがあります。それは仕事との両立において「育児も、介護も、同じようなもの」という誤解がとても多いということです。

実際に介護を経験すれば明らかなのですが、これは、完全に間違いです。育児と介護は、似ているどころか、むしろ正反対とも言えるほど、異なっています。図表2を見れば、育児と介護の違いがはっきりとわかると思います。そもそも介護の場合は一般的に、大きく次の3つの特徴があります。

1 情報が足りない
2 考える時間が足りない
3 職場に相談できるネットワークがない

それに加えて、育児は、図表2の下表に示したように経験されます。また育児は、辛いながらも、子どもの成長から仕事のモチベーションを得ていくことが可能でしょう。対して介護は、そこから仕事のモチベーションを得ることは難しいということも考えておく必要があります。

誤解を避けるために付け加えておきますが、育児が簡単だとか、そういうことが言いたいのではありません。そうではなくて、育児と介護はまったく違うということを認識し、それぞれに異なる対応の戦略が必要だということです。

関連記事
老母の前の畳に包丁をブスリと刺し「2人で死んだ方がいい」…介護で"廃業"の60代次男が車で畑に突っ込むまで
「認知症の母をいじめ抜き泣かせた自分を許せない」10年の介護で精根尽きた60代次男を襲った"ステージ4"
「コンセントにほこり」だけで説教3時間…妻を論破したがる"令和のモラハラ男"に共通のコンプレックス
近所から怒声や苦情が殺到…「犬の認知症」で夜鳴きが止まらなくなった愛犬に80代女性が下した苦渋の決断
新NISAが始まっても投資に手を出してはいけない…経済学者が「老後に備えるならコレ」と唯一勧める金融商品