2025年、「バブル経済」「失われた30年」以上のインパクトが起きる。800万人を超える団塊の世代が、この年に75歳以上の後期高齢者になり、要介護者も増えると見られる。経済産業省は今年3月、2030年には家族介護者が833万人にのぼり、ビジネスケアラー=働きながら介護する人が318万人になるとの予測を発表。介護の現場に詳しい酒井穣さんによるリポートをお届けしよう――。

※本稿は、酒井穣『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

シニア男性の後ろ姿
写真=iStock.com/Yaraslau Saulevich
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団塊世代が介護突入、大介護時代の到来

人口ボリュームの大きい団塊の世代が、2025年には75歳以上の後期高齢者となります。そして75歳以上になると、急速に介護を必要とする人(要介護者)の割合が増えます。

日本においては2025年が、介護問題の爆発の年となるのです(2025年問題)。

大介護時代の到来です。

団塊の世代とは、第一次ベビーブーム(1947〜1949年)に生まれた800万人を超える「人口のかたまり」です。日本の歴史に対して、非常に大きなインパクトを持ってきました。この世代の給与がピークにあったとき、日本で大きな「バブル経済」が起こりました。

そしてこの世代が現役を退いていく中で、日本は「失われた30年」に苦しんだのです。かつての「バブル経済」や「失われた30年」と同等か、それ以上のインパクトが2025年以降の日本で「団塊の世代の介護」として発生することになります。