老化予防の大原則

基本的には、ある一定の年齢(私は50歳以上と考えています)になれば、どんな栄養でも極端なとりすぎでなければ、「足りないより余っているくらいのほうがいい」というのが老化予防の大原則だと私は考えます。

脂肪を減らそうとする方も多いのですが、体脂肪を減らしすぎると、体温が下がり免疫機能を落とすことが知られています。

さらに魚の脂由来のDHA、EPA(エイコサペンタエン酸)、オリーブオイルやエゴマ油などのαリノレン酸を含む油をとると、身体の酸化予防や動脈硬化の予防、脳神経細胞の活性化につながります。

タンパク質とコレステロールをセットでとれる肉類のほか、ある程度の炭水化物も必要です。

脳の働きを維持するにはブドウ糖は必須なので、高度な肥満の人を除けば、「体重が減らない量がその人の適量」だと考えてとることをすすめます。

食べるという行為自体が前頭葉を刺激する

老人ホームの入居者の中には、「食べること」に喜びを感じている人が多いのです。

「食べる楽しみ」は、誰にでもできて、脳を活性化させる効果的な方法です。食べるという行為自体が、前頭葉を刺激する快体験になるのが理想的です。

「いつまでも美しくありたい」という気持ちはよくわかりますが、ダイエットを中心にした我慢型の生活は、食事も簡素になりがちです。

和田秀樹『70代、80代を楽しむためにこれだけは知っておこう!』(かや書房)

しかし、食に興味を失い、食べる楽しさをないがしろにしていると、肉体的にも精神的にも老化を進めてしまいます。

節制と、食事や娯楽をおろそかにすることは、全く異なるものなのです。

病気でない人とは、マイナス要因がない状態で、ゼロの地平にいる状態です。

医者による治療とは、患者のマイナスの部分を埋めてゼロの状態に戻すことです。

一方、若々しいとか幸せとかは、プラス要因に加えて、上のランクにいる状態を意味します。ゼロの地平から上のランクにいくには、今の状態に何かを足す必要があるのです。

そのために「好きなものを食べる」ことが必要なのです。

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