※本稿は、犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
自律神経の乱れは背中にあらわれる
「自律神経の乱れによるものかもしれません」。よく聞く言葉です。動悸や息切れ、呼吸がしづらい、便秘や下痢、頭痛、めまい、立ちくらみ、不眠、全身の倦怠感、とれない疲労、イライラや不安感……体に明らかな異変や不調を感じてさまざまな検査をしても、これといった原因が見つからず、「自律神経の乱れ」を指摘されたことがある方も多いと思います。
自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまうと、全身に症状があらわれます。このバランスを整えるためには、規則正しい食事や睡眠、ストレスのコントロールなど、さまざまな方法がありますが、どれも簡単にできるものではありません。自律神経で悩んでいる方は、ぜひ一度、ご自身の「背中」に注目して頂きたいと思います。
自律神経の乱れは、背中の筋肉の固さとしてあらわれるからです。首から骨盤にかけて、背骨に沿って背中の中央部分に位置する脊柱起立筋という大きな筋肉があります。上体を起こしたり、背筋を伸ばしたり、上体を反らしたりといった体幹を動かす動作に使われる筋肉です。自律神経が乱れると、この脊柱起立筋肉が固く、こり固まります。
真面目に頑張ってしまう人ほど要注意
自律神経が乱れ、背中が固くなっている人は下記のような傾向があります。私のウォーキングスタジオの生徒さんでも、このような方が多くいらっしゃいます。
・気が付くと体に力を込めて、歯を食いしばっている
・長時間、スマホの操作やパソコン作業をしている
・自分にも他人にも厳しく、「あるべき」姿を求めがち
・胸を張って、背中を反らせる姿勢をしている
・痛みに耐えながらストレッチや運動をしている
・呼吸が浅く、早くなっている
これらは、「がんばる人」の特徴でもあります。この記事を読んでいる方にぜひお願いしたいことは、「体に力を込めて何かをがんばること」を、一度やめてみることです。なぜなら、上記に挙げたいずれもが、筋肉を固くしてしまう習慣だからです。がんばる人は、筋肉が固くなっていることが多いのです。