健康のためにはどんなことに気をつければいいのか。ウォーキングコンサルタントの犬飼奈穂さんは「健康のためにウォーキングをしている人は多いが、胸を張った姿勢で歩くことは体の不調を招く恐れがある。大股の早歩きやモデル歩きはやめて、背中をゆるめることを意識してほしい」という――。

※本稿は、犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

街を走る若い女性
写真=iStock.com/monzenmachi
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「ペットボトル」のような姿勢がいい

「よい姿勢で歩きましょう」と言われたら、どうやって歩きますか?

多くの人は、肩甲骨をグッと寄せて、胸を張って歩きます。足にも力を入れて、強く踏みしめながら早足で歩きます。颯爽としていて、一見、良い歩き方のように見えますね。でも、実はこの「胸を張って歩く姿勢」は、さまざまな不調を引き起こしてしまう危険な姿勢だということを知って頂きたいと思います。

なぜ胸を張って歩いてはいけないのか? 人間の体を、空のペットボトルで例えてご説明します。体に負担のないラクな姿勢というのは、ストンとしたきれいなペットボトルのような状態です。どこにも歪みがないのです。

胸を張ると、その反動で腰が大きく反ってしまいます。ペットボトルに例えると、ボトルの形がぐにゃりとつぶれて、歪んでしまった状態になります。こうなると、体に力を込めないとバランスがとれません。ただ立つだけで、筋肉に必要以上の負荷がかかっている状態なのです。

いつも猫背で歩いている人が、急に胸を張って颯爽と歩くと、とても疲れると思います。「疲れるけれど、これは健康のためだから!」「急に姿勢を良くしたせいで体のあちこちが痛いけど、慣れてくれば治るから!」などとは思わないでください。

「疲れる」という時点で、体にとって良い姿勢ではないのです。もちろん猫背は猫背で改善すべきなのですが、猫背を治す=胸を張る、ということでは決してありません。もし日常的に胸を張って立ったり、歩いたりしている方がいたら、今すぐにやめて頂きたいと思います。