健康のためにはどんなことに気をつければいいのか。シドニー大学教授で栄養生態学の世界的権威であるデイヴィッド・ローベンハイマーさんらによる『食欲人』(サンマーク出版)より、健康に悪影響を及ぼす危険な食品についての解説を紹介する――。(第1回)
ジャンクフードの盛り合わせ
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最悪の場合は死に至る「超加工食品」とは

現代の食環境が有害化した経緯を理解しようとする私たちの探究は、デイヴィッドが2015年にブラジルから受け取ったメールをきっかけに、重要な一歩を踏み出した。メールの差出人は公衆衛生栄養学の第一人者、サンパウロ大学のカルロス・モンテイロ教授。

カルロスは、人間とペットの摂食パターンに関する私たちの論文を読み、彼の研究に関連があることに気づいて連絡をくれたのだった。カルロスはさまざまな種類の食品と肥満との関係を、世界中で調べている。まずブラジル、それからアメリカやそのほか多くの国で実施された彼の研究は、明確なパターンを明らかにした。「超加工食品」と呼ばれる分類の食品の摂取量が増えると、肥満が増えるのだ。

そして肥満が増えるほど、糖尿病や心疾患、脳卒中、特定の種類のがん、早死が増えるのは周知のとおりである。人間の健康にこれほどの悪影響をおよぼしている、超加工食品とはいったい何だろう?

超加工食品が、ほかの種類の加工食品とどう違うのかを理解する必要がある。加工食品の多くはなんの危険性もなく、むしろ健康によいものさえある。ここで、カルロスと研究仲間の出番となる。カルロスらは食品を加工のレベルに応じて分類し、健康を脅かす加工食品を特定するためのシステムを開発した。この方式は、「NOVAシステム」と呼ばれる。