ダイエットにはどんな食事法がいいのか。シドニー大学教授で栄養生態学の世界的権威であるデイヴィッド・ローベンハイマーさんらによる食欲人(サンマーク出版)より、健康的にやせる食事についての解説を紹介する――。(第2回)
脂肪男性の胃
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「タンパク質は健康によい」という誤った理解

人類史のほとんどの期間はそうではなかったが、今日では多くの人が体重を落とすことを目標にしている。体重を減らすだけでも大変だが、減らした体重をキープするとなるとさらに大変だ。よくあるのが「ヨーヨー効果」だ。

最新流行のダイエットで減量しては、もとの体重にリバウンドし、かえって前より太るなど、体重がヨーヨーのように増減をくり返す。減量産業にとっては夢のようなビジネスモデルであり、また人間の生物学的な仕組みと現代の食環境のせいで、これを避けることはほぼ不可能になっている。

タンパク質レバレッジの助けを借りれば、仕事はずっと楽になる。ヨーロッパのDIOGENES研究などの大規模臨床試験では、低カロリー食の期間(この研究では1日800kcalを8週間)中に減った体重をその後も維持するには、高タンパク質食(25%)と多量の健康的で消化の遅い炭水化物を組み合わせるのがよいという証拠が示されている。

初心者にありがちな間違いは、高タンパク質食のメリットが、タンパク質そのものから来ていると思い込むことだ。「高タンパク質食で体重が減った。体重が減って健康状態がよくなった。だから、タンパク質は健康によい」という、誤った三段論法がまかり通っている。

だがタンパク質は、糖尿病や心臓病などの肥満の合併症を改善する特効薬ではない。高タンパク質食は、ただ総摂取カロリーを抑えるだけだ。それ以外のメリットはすべて、カロリーを減らしたことからやってくる。