愛知医科大学のマツナガらは、18~25歳の被験者たちに、架空のライフイベントや人間関係などが描かれたストーリーを読ませ、主人公になりきって追体験してもらい、そのときの反応(唾液に含まれる、「幸せホルモン」ともいわれるセロトニンの量)を調べました。
ライフイベントの内容は「ポジティブ」「ニュートラル」「ネガティブ」の3つに、人間関係も「ポジティブな友人」「ネガティブな友人」「友人がいない」の3パターンに分かれていたのですが、その結果、「ポジティブな友人がいること」が被験者の幸福度を著しく高めることがわかりました。
ポジティブで幸せそうな友人がいるケースでは、たとえライフイベントがネガティブなものであっても、幸福を感じる傾向が見られたのです。
逆に、ネガティブな友人がいる場合は、友人がいない場合よりも幸福度が下がる傾向が見られました。幸福度が人間関係によって左右されるのは、人間に高い共感能力があるからです。
人は、対面している相手、近くにいる相手が発している感情をそのまま受け取り、同じような感情を抱きます。
そのため、ポジティブな人と共に時間を過ごしたほうが、人生はポジティブな方向に向かいやすいのです。
職場でも、信頼できる人は一人いればいい
もちろん、仕事の人間関係においても同じことがいえます。何事にも積極的な人といると積極的に、モチベーションが高い人といると意欲的になりやすいといえるでしょう。
一方で、ネガティブな人、消極的でモチベーションが低い人との人間関係に時間やエネルギーを費やすことは、あなたのビジネスにおいて、決してプラスにはなりません。また、職場にたった一人でも信頼できる人がいるかどうかは、職場の人間関係への満足度を大きく左右します。
2016年に行われた、仕事仲間との関係構築に関するアンケート調査(エン・ジャパン株式会社が運営する人材紹介集合サイト「ミドルの転職」が実施)によると、職場に信頼できる人がいる人で、「職場の人間関係に満足している」と答えた人は61%、職場に信頼できる人がいない人で、「職場の人間関係に満足している」と答えた人は23%であり、信頼できる人が職場にいることで、職場の人間関係への満足度が高まることがわかります。
そして、詳しくは『24 TWENTY FOUR 今日1日に集中する力』でお話ししますが、信頼できる人の存在は、あなたが仕事でミッションを達成するうえで、大きな力となります。
あらためて、職場の上司や同僚、取引相手との人間関係について考えてみましょう。あなたが心から信頼できる人、あなたの仕事への意欲を引き出し、あなたをポジティブな気持ちにしてくれる人はいますか?
人間関係にある程度線引きをし、そうした人との関係により多くの時間とエネルギーを割くことが、あなたのビジネスを成功に導き、あなたの人生を健康で幸福なものにしてくれるのです。