※本稿は、堀田秀吾『24 TWENTY FOUR 今日1日に集中する力』(アスコム)一部を再編集したものです。
世の中の3割近くの人が、「職場の人間関係」に悩んでいる
さて、みなさんの中に、上司や同僚とそりが合わない、コミュニケーションがうまくとれない、何らかのハラスメントや嫌がらせを受けているという人や、「上司や組織の仕事の進め方が合理的でない」「真面目に働き、成果を上げている人間と、そうでない人間がいる」「自分の働きに対する評価や待遇が適切でない」「飲み会など、時間外のイベントに参加させられる」といったことに、ストレスを感じている人はいませんか。
ちなみに、厚生労働省「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、25.7%の人が職場の対人関係に強いストレスを抱えていると答えており、日本労働調査組合が2021年に行った「職場の人間関係に関するアンケート」でも、16.5%の人が「職場の人間関係に疲れて悩んでいる」、12.7%の人が「職場の人間関係にストレスを感じている」と答えています。
意欲や生産性を上げるのは、賃金ではない
職場の人間関係は仕事の効率や生産性に大きく影響します。組織のあり方や人間関係に問題があると、当然のことながら、仕事への意欲が下がったり、意思疎通やコミュニケーションがスムーズにいかなくなり、業務に支障が生じたり、離職率が上がり、優秀な人材が流出したり、人手不足に陥ったりしやすくなるからです。
職場の人間関係と仕事の効率の関係性については、「ホーソン実験」という有名な実験によって明らかにされています。ホーソン実験は1927年から1932年にかけて、当時ハーバード大学教授だった、ジョージ・エルトン・メイヨー教授らがウエスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行った研究のことを指します。
教授らは、生産性を上げるために何が必要なのかを見つけるため、さまざまな実験を繰り返した末、生産性の向上にもっとも大きな影響を与えるのは、労働時間や休憩時間、賃金や物理的な労働環境ではなく、人間関係であるという結論に至ったのです。
組織の人間関係は、そもそも破綻する運命にある
ここで、みなさんに知っておいていただきたいことがあります。それは、組織の人間関係は、そもそも破綻する運命にあるということです。なぜなら、基本的には、人が増えれば増えるほど、一人ひとりの当事者意識が減るからです。
その結果、組織全体としての生産性が下がったり、さまざまな人間関係のトラブルが起こったりするのです。