「なぜこの公式を使うのか」を納得して覚える
だが、闇雲に勉強してはいけない。例えば算数の「速さ」の単元に苦手意識があれば、自分はどういう問題のときは解けて、どういう問題になると分からなくなってしまうのかを細かく見ていく必要がある。上位層の子の場合、速さの基礎概念は理解できているけれど、ダイヤグラムの複雑な問題は苦手というのであれば、その部分だけ見直しておけばいい。だが、中位・下位層の場合は、基本知識からの確認が必要になることがほとんどだ。そういう場合、ただ公式を頭に詰め込むのではなく、「なぜこの公式を使うのか」、「どんなときに使える公式なのか」を納得して覚えることが大切だ。でなければ、時間がたつとすぐに忘れてしまう。
また、理科・社会の知識が足りないと分かったときに、一問一答のドリルを使って丸暗記をしようとしても意味がない。近年の入試は知識そのものを聞く問題はほぼ出題されないからだ。そういう場合は、テキストの説明に戻って「なぜそうなのか」という理由や因果関係を理解することから始めなければいけない。しかし、こうした学習にはある程度まとまった時間が必要だ。また、心の余裕がなくてはいけない。
まとまった時間が取れる最後のチャンス
夏休みの後半1週間は、そういう時間が取れる最後のチャンスだ。たった1週間ではあるけれど、この1週間がとても大きい。なぜなら、秋からは過去問対策が始まり、ますます時間に余裕がなくなるからだ。ひたすら走り続ける勉強をしていると、苦しいだけで、ゴールにたどり着けなくなってしまう危険性がある。だからこそ、ここで一旦呼吸を整え、正しいフォームで走れているか勉強のやり方を見直し、秋以降スムーズに走りきれるよう確認をしておくことが大事なのだ。
この1週間の過ごし方が、その後を決めるといっても過言ではない。与えられたコースから外れるには勇気がいるが、今わが子にとって何が一番大切かをしっかり見極めてほしい。