原点回帰は成功したのか
気になるのは、江崎グリコが選んだ「ビスコの原点回帰」の結果だ。
広報に確認すると、売上額の詳細は非公表ながら「コロナ禍の影響を受け、過去最高売り上げの2018年には届かないが、それに次ぐ程度まで回復した」という。中でも、ブランドの基幹商品である「赤い箱のビスコ」の売り上げは着実に伸びているそうだ。
「これからの課題は、『なぜビスコは子どもの成長によいのか』を理解してもらうことですね。ブランドが始まって90年もたちますが、ビスコには実は乳酸菌が入っていておなかからお子さまの成長を応援するという事実をお客さまにしっかり伝えていきたいです。中身もその期待に応えられるものを作り続けていきます」(吉田さん)
ビスコが広い世代に知られ、さらに90年売れ続ける背景には、こうした紆余曲折があった。自らを客観的に見つめ、挑戦を続けていることはもちろん、数年先のブランドの価値を大事にしていることに、ロングセラー商品の秘訣があった。