多くの人に愛される商品はどう作られるか。リブランディングコンサルタントの深井賢一さんは「大阪の洗剤メーカー・サラヤは、エコ洗剤の製造工程で環境破壊や動物虐待と糾弾を受けて存亡の危機に直面したが、その後商品の売上の1%をNGOに寄付するなどの取り組みを行うことで、新たに発売された洗剤が他に類をみないヒット商品になった。背景には、商品を買うことで『ちょっといいコト』をした気分になれる特別な価値が付加されたことがある」という――。

※本稿は、深井賢一『売れる「値上げ」』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

泡立つ食器用洗剤
写真=iStock.com/Victoria Popova
※写真はイメージです

象と洗剤の意外な相関関係

大阪の洗剤メーカーが日本中で愛される理由
サラヤ『Happy Elephant』

グリーンの容器に、『Happy Elephant(ハッピーエレファント)』という商品ブランド名と、「森林を歩く象」のロゴが描かれている、そんなパッケージの商品がエコ(ブランド)市場でヒット商品となっています。

製造・販売しているのはSARAYA(サラヤ)という大阪の会社です。同社は洗剤類を中心に、手洗い用品や消毒・除菌用品、台所用品、洗濯用品、掃除用品、スキンケアやヘアケア用品などの日用品全般を提供しているメーカーです。

それにしても洗剤に「Elephant=象」とは、ちょっと不思議な組み合わせです。ロゴの「森林を歩く象」やブランド名の『Happy Elephant』(幸せな象)に表される「象」と商品の「洗剤」には、いったいどんなつながりがあるのか謎めいています。

実は、その謎の裏に潜む「ストーリー」が、この商品に特別な「価値」を与え、他に類を見ないヒットへのきっかけとなりました。