女性の合格率に差をつけてきた

例えば医学部で6年間学び、医師国家試験に合格して医師免許を取り、2年以上の臨床研修を受け、1人前になって医師としてのスタートラインに立った時、年齢はすでに30歳前後になっています。

すると、女性の場合は結婚適齢期にもあたるので、そこから結婚、出産、子育ての時間が必要となり、長期間現場を離れることになります。

職場復帰して、このブランクを取り戻す時間を含めても、医師としてしっかり現場で活躍できるようになるのは40歳前後。60歳まで働くとしても、現場で働ける時間は約20年しかありません。数字だけでみてしまうと、非常に効率が悪いということになります。

これは現場復帰した場合ですが、そうでない場合は活躍できる期間はさらに短くなります。

不公平ではありますが、こういった背景から女性の合格率に差をつけてきたのでしょう。

多浪の受験生を避ける大学

アンフェアということでいうと、医学部の場合は多浪生にも“ハンデ”があるといわれます。

受験勉強を長く続けた末の合格となると、気が緩んでつい遊んでしまう学生が多く、留年する、あるいは国家試験の合格率が低いといった傾向が出てしまいます。

そのため、多浪の受験生を避ける大学があるというのです。

もちろん浪人生のすべてがそういう学生ばかりではないはずですが、そういった学生を一度でも受け入れた大学では、面接でも多浪生には厳しい質問をし、心構えを問うということも現実に行っているようです。

さらにいうと、居住地が首都圏か地方かということでも、すでに差があります。

野田英夫『『医学部にはエスカレーターでのぼりなさい』 偏差値40から浪人せずに医者になる方法』(日刊現代)

例えば、首都圏の難関進学校の場合、中高一貫のため、高校1~2年生までの段階で高校3年までのすべてのカリキュラムを終えてしまいます。

しかし、地方の場合、進学校にあたるのが県立上位校となり、高校1年生からカリキュラム開始となるため、スタート地点がまったく違っています。

首都圏の生徒と比べると、すでに周回遅れでスタートを切るようなものなのです。

そのため、なかなか現役合格は難しく、浪人してしまう可能性が増えてしまいます。

いま挙げたさまざまな点を鑑みても「医学部入試はフェアじゃない」ということがおわかりいただけたかと思います。

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