わが子を勉強の「自走式モード」にさせるにはどうしたらいいのか。長男の受験をサポートした経験を基に中学受験生たちを描いた『きみの鐘が鳴る』の著者・尾崎英子さんと、塾にほとんど行かず、もともとは偏差値40台でありながら開成中学に合格、その学習法をマンガで描いた著書を刊行した現役の開成高校生・ぎん太さんに、受験をいい経験とするためのアドバイスを語ってもらった――。(後編/全2回)

※本稿は、『プレジデントFamily2023春号』の一部を再編集したものです。

前編から続く)

尾崎英子 大阪府生まれ、東京都在住。早稲田大学教育学部国語国文科卒。 『小さいおじさん』で第15回ボイルドエッグズ新人賞を受賞して作家デビュー。 著書に『ホテルメドゥーサ』『有村家のその日まで』など。 中学受験小説『きみの鐘が鳴る』(ポプラ社)が話題。今号より連載小説が開始(P.90)。
撮影=岡村智明

「全落ちたら、この神棚、絶対に燃やす」

【ぎん太】(尾崎さんの著書)『きみの鐘が鳴る』にはいろいろな親が出てきますが、尾崎さん自身をモデルにしたキャラクターもいるんですか?

【尾崎】完全に自分を投影した人物はいませんが、安全校に合格できなかった娘に対して、火がついたように怒りを爆発させる母親のセリフは私自身が発したものです。「全落ちしちゃったら、この神棚、燃やすから、絶対に燃やす」って。実際のわが家では「そんな罰当たりなこと言わないで」と夫にたしなめられました(笑)。

【ぎん太】分刻みでスケジュールを作って、子供をガチガチに管理するお父さんも印象的でした。うちの父は仕事が忙しくてあまり家にいなくて、受験にもまったく関わることがなかったので。模試の合格判定はいちばん低いのが20%なのに「20%も可能性あるんだから受かるんじゃない?」みたいな感じでした(笑)。