まじめにコツコツ勉強しても、成績が思うように上がらないのはなぜなのか。近著『超「超」勉強法』が話題の野口悠紀雄さんは「学校の成績が悪い学生は、頭が悪いのではなく、やり方を間違えていることが多いのです。実はこれは、社会人になってからの仕事にも通じることでもあります」という──。(第5回/全7回)

※本稿は、野口悠紀雄『超「超」勉強法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

なぜ成績が上がらないのか?

学校の成績が悪い学生は、頭が悪いのではありません。やり方を間違えているのです。人間の能力にそれほど差があるわけではありません。成績に差が生じるのは、方法に違いがあるからです。

成績は勉強時間に比例しません。それどころか、勉強の努力にも比例しません。同じ勉強時間、同じ努力であっても、努力の配分の仕方によって、結果には大きな差が生じてしまうのです。すべての努力が同じように報われるわけではありません。

だから、まじめで勉強時間の多い学生が成績が良いとは限りません。まじめなために、かえって成績が悪くなってしまうこともあります。

学校での勉強に関する限り、正しい方法で勉強すれば、必ず良い成績を上げられます。なぜなら、学校教育では、人並み外れた創造力を要求しているわけではないからです。

それどころか、そもそも創造力を要求しているのですらありません。できあがっている学問の体系を、定型通りに習得することを要求しているだけです。

疲れている学生
写真=iStock.com/skynesher
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できる学生は「重要なこと」に集中する

まじめな学生は、取り落としがあってはいけないと思って、すべてを同じようにカバーしようとします。

しかし、これでは努力に見合った成果を上げられません。それどころか、成績が上がりません。この学生は、まじめなのだけれども、やり方を間違えているのです。

取り落としがないようにまんべんなく勉強すれば、安心感を持てるかもしれません。しかし、その安心感は偽物なのです。こうして、まじめな学生ほど成績が悪くなるという結果になってしまいます。

それに対して、できる学生は、「何が重要か」を把握しています。そして、そこに努力を集中しています。