成果は努力に比例しない

重要なもの、成果を左右するもの、全体の動向を決めるものは、全体の一部です。したがって、投入、原因、努力のわずかな部分が、産出、結果、報酬の大部分をもたらすのです。

重要なものを重点的に扱えば、効率は飛躍的に向上します。ポイントをつかむ、大事なことを先にする、コツをつかむ、要点を押さえる、枝葉末節にこだわらない、ということです。

方向を正しくすることによって、少ない努力で大きな結果を生み出すことができます。選択して集中することが必要なのです。

日本人には、「長い時間、まじめに働くことこそ重要」と考えている人が多いように見受けられます。しかし、長い時間働くことではなく、価値のある重要な仕事に絞って、短い時間で大きな結果を生み出すことが重要です。

こうした観点から、日常生活や仕事の習慣を見直す必要があります。

2割の部品の故障が8割

2:8の法則は古くから知られ、実際の仕事において応用されてきました。その具体的な例として、自動車部品の故障対策があります。

自動車は多数の部品からできていますが、すべての部品が同じような頻度で故障するのではありません。頻繁に故障するのは一部の部品であり、それらが故障件数の大半を占めているのです。

実際には、2割程度の部品の故障が総故障件数の8割程度になる場合が多いといわれます。つまり、文字通り、2:8の法則が成立するのです。

このため、修理工場は、すべての部品を同数ずつ準備するのでなく、重要な部品を重点的に備えています。そうすることによって、ほとんどの事故に対応することができます。

数の上では2割のものが重要度では8割を占めるという2:8の法則は、品質管理の分野で重要な法則として意識され、積極的に活用されるようになりました。

2:8の法則は、日常生活にも適用できます。今日やるべきことを10件書き出してみましょう。このうち、優先順位の高い2件をまず処理します。すると、今日の仕事の8割は片づくことになる場合が多いのです。また、一日のうち約2割の時間が、8割程度の価値を生み出しているともいわれます。

多くの作業において、重要な仕事時間は、その仕事に使っている総時間の2割くらいなのです。