「庶民切り捨て路線」はどこも同じ

21年5月にリニュアールした「西武園ゆうえんち」も休園前は大人2800円を、中学生以上4400円とガツンと値上げをしている。

つまり、施設やアトラクションを充実させる代わりに入場料を大幅値上げするという、「庶民切り捨て路線」はこの数年、テーマパークやアミューズメント施設ではみんなやっていることなのだ。だから、ディズニーやUSJが1万円オーバーになっても、庶民は「ま、そんなもんでしょ」と容認している。

そこに加えて、そもそもテーマパークやアミューズメント施設という「体験」を売り物にしているビジネスは「安売り」と相性が良くないということがある。

例えば、ディズニーが「子育て応援宣言」とか言い出して、今よりガクンと入場料を下げるとどうなるか。

庶民は当初、「ディズニー、神対応!」とお祭り騒ぎで大喜びをするだろうが、すぐにこの路線が自分たちにとってデメリットしかないことを思い知る。

「体験」施設を安売りすると地獄絵図になる

まず、「安さ」目当ての人たちが大挙として押し寄せるので、園内は阿鼻あび叫喚の地獄絵図になる。アトラクションは8時間待ちとかになるので入場制限もかかる。クチコミは「最悪」「もう二度と行かない」など荒れに荒れるだろう。そもそも、チケット入手が困難になる。

しかも、この常軌を逸した「安売り」を実現するためには、どこかでコストカットをしなくてはいけない。これはテーマパークやアミューズメント施設の場合、死亡事故など深刻な問題を引き起こすことがわかっている。

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過去のことなど具体的な施設名を出さないが、保守点検にかかるコストや、アトラクションの係員の人件費をケチったことで、死亡事故などのトラブルを引き起こしたテーマパークやアミューズメント施設はひとつやふたつではない。

園内はイオンモールのような大混雑で、コストカットされた現場。「安くて質の高いサービス」を求めて高圧的なモンスター客。重大な事故がいつ起きてもおかしくない条件は、すべて揃っている。つまり、安全に「体験」を提供する、テーマパークで「安売り」をするというのは、破滅への一本道なのだ。