シャネルやグッチが庶民向けになったら…
なぜディズニーは特別扱いなのかというと、答えは簡単で「ブランド」が確立されているからだ。
当たり前の話だが、ディズニーランドの「体験」はあそこでしかできない。もっと安い5000円くらいのテーマパークに行けば、似たような体験ができるわけでもない。そして、ディズニーランドに行けば、なんやかんや言っても、他のテーマパークで味わえない満足感が得られるという社会的評価も確立している。
こういう「ブランド」は庶民に迎合する必要がない。むしろ、迎合したら破滅する。
例えば、シャネルやグッチが、庶民から「みんなが楽しめるようにしろ」「貧しい女の子がシャネルのバッグを買えなかったらかわいそうだと思わないのか」という批判に応えて、お求め安い価格のバッグの安売りを始めたらどうなるか。
短期的には「社会貢献だ」「弱者に優しい」とチヤホヤされて、客も増えるだろう。だが、「ブランド」の価値が地に落ちるので、コアなファンにそっぽを向かれて、あっという間に会社は傾いて最悪、ブランドも消滅してしまうだろう。
USJはお先に「1万円オーバー」を敢行
ディズニーも基本的に「ブランドビジネス」だ。だから、庶民を切り捨てていくことは恐れないし、むしろそれが躊躇なくできるから開園以来、日本のテーマパークで不動のトップでいられるのだ。
そこに加えて、われわれがディズニーの「高級化路線」を受け入れてしまうのは、そもそも好調なテーマパークやアミューズメント施設がこの近年、総じて「値上げ」にシフトしていることも大きい。
例えば、ディズニーのライバル、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは8月11日から、1日券の最高価格を9800円から1万400円に引き上げる。USJは昨年10月にも400円値上げしているので、かなりハイペースで高級化に突き進んでいる。
関東で満足度の高いテーマパークのひとつであるサンリオピューロランドも、昨年から変動価格制を導入して、大人料金で最大1000円値上げした。期間によって3600~4900円の間になる。