「値上げは悪」をアップデートしたほうがいい
無料の公園に毛が生えたくらいだから、1000円、2000円の入場料で十分でしょ、と自分の尺度で考えてしまう。つまり、こういう人はテーマパークで働いている無数の人たちへの「リスペクト」がないので、安易に「高い」「ボッタクリ」なんて言葉が出てしまうのだ。
「テーマパークが1万円なんてとんでもない!」「庶民切り捨てだ! 今の国内経済を考えれば3000円くらいが妥当だろ」と批判することは、苦しい庶民の立場にたった正義の主張のような錯覚をしてしまう。
だが、実はそれはそこで働く人たちに対して、「お前らのやっている仕事はそんな価値のあることじゃないだろ」と言っているのに等しいのだ。
サービス業に対して「庶民を切り捨てるな、もっと安くしろ」と迫ることは、そこで働いている日本の労働者の7割に対して、「そんな高い賃金をもらえるわけないだろ、身の程を知れ」と恫喝しているようなものだ。
「庶民切り捨ての値上げ」がまわりまわって、庶民を救うことになる。日本もいい加減そろそろ「値上げは悪」という古い価値観をアップデートすべき時にさしかかっているのではないか。