なかなか実現するのは難しい「ピンピンコロリ」
平均寿命を変えず健康寿命だけを延ばす方法は、私の探した範囲内にはありませんでした。死ぬ直前までピンピンと健康に生きてコロッと逝く、いわゆる「ピンピンコロリ」は理想的な死に方とされることもありますが、意図的にピンピンコロリで死ぬのは難しそうです。健康寿命を延ばすよい生活習慣は同時に平均寿命も延ばすでしょうから、ちょっと考えれば当たり前でしょう。
「ピンピン」の期間を長くすることは高血圧や糖尿病といった慢性疾患の管理や生活習慣の改善で、ある程度は可能です。問題は「コロリ」です。健康な状態から突然死すれば不健康期間はゼロになります。ですが、突然死の原因である心血管疾患や脳血管疾患は、寝たきりの原因にもなるのです。「ピンピンコロリで死にたいから」と高血圧を治療せずに放置して脳出血を起こしたとして、希望通りコロリと死ねるとは限らず、後遺症を残して生き延びることだってあります。高血圧が認知症のリスク因子であることも無視できません。
というわけで、コントロールできないことをあれこれ思い悩んでも仕方ないので、私は無理のない範囲内で健康的な生活を心がけて、あとは運を天に任せるのがいいのではないかと考えています。日本人の平均寿命も健康寿命も、十分に長いのですから。