本の2割に8割の情報

2:8の法則は、読書の場合にも有効です。

10章からなる書籍を考えましょう。各章の長さはそれぞれ1であるとします。各章に含まれている重要な情報は、第1章と第10章ではそれぞれ4あり、他の章では、1章あたり0.25であるとします。

野口悠紀雄『超「超」勉強法』(プレジデント社)

この場合、第1章と第10章は、分量からいえば全体の2割ですが、重要度からいえば全体の8割を占めていることになります。

ここで、各章を読むのに要する時間は1時間であり、読書に当てられる総時間は5時間しかないとしましょう。

第1章から順に読んでいった場合には、得られる重要な情報は、第1章から4、第2、3、4、5章から1ですから、全部で5になります。

他方、まず第1章と第10章を読み、次に2、3、4章を読む場合には、重要な情報は第1章と第10章から8得られ、2、3、4章から0.75得られます。したがって、全体としては8.75の重要な情報が得られることになります。

つまり平板に読むのではなく、重点的に読めば、得られる8.75÷5=1.75倍に増えることになります。

重要な2割に集中せよ

私の場合、仕事の参考のため、大量の本や文献に目を通す必要があります。しかし、関連する文献の最初から最後までを丹念に読んでいるわけではありません。そうしたいのはやまやまですが、とてもそれだけの時間が取れません。

そこで、つぎのようにしています。ある事柄を調べたいときに、それに関する参考文献が10冊あるとします。それらをすべて読む必要はありません。その中で優れたものを2冊読めばよいのです。それによって、問題の8割程度は理解できます。参考文献には大体同じ内容のことが書いてあるので、これは当然ともいえるでしょう。

新聞の場合には、「2割程度読めばよい」という法則は、確実に成立します。あらゆる面を隅から隅まで読むのは、非効率です。

「購読料を払ったのだから全部読まないと損だ」などと考えてはいけません。役に立たない記事を読む時間のコストのほうが、購読料より高いでしょう。一般紙にさまざまな記事が出ているのは、読者の範囲を広げ、コストを下げるためなのです。

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