虫塚に自分自身が入ろうと思ったが…

まる ありがとう』という本にも書きましたが、虫塚のような供養塔は、普通は自分が殺したものを慰霊することが目的です。

だからこの虫塚には僕自身も入るつもりでした。また虫と関わりのある人なら誰でも入っていいことにしようと思っていました。その理由として、1947年に家制度が廃止されて、墓守りしない人が増えたことがあります。

戦後、都市への一極集中が進んだために、田舎に放置された無縁墓が増えています。建長寺は創建から760年以上の歴史があるので、これから先もお寺が続いていれば、虫塚も続くと思ったのです。

墓は勝手につくってはいけない

ところが、後でわかったことですが、墓を勝手につくってはいけないようです。墓地は墓地として管理しないと、後で動かしたりするときにもめるというのです。結論を言うと、虫塚を墓地にすることはできないということでした。

養老孟司、中川恵一『養老先生、再び病院へ行く』(エクスナレッジ)

僕の母は実家があった相模原に自分で墓を建てて、母方の祖父や祖母もそこに入っています。父は京都の知恩院と、実家のある福井県の墓地にそれぞれ分骨しています。もしかしたら、虫塚に少しだけ分骨するのはできるかもしれません。

でも虫塚だけを墓にすることはできないので、どうするかはまだ考えていません。おそらく妻が決めるでしょう。何事も順送りですから。

猫のまるを亡くして2年。その骨壺もまだ自宅に置いてあるのですが、どうするか決めていません。中川恵一さんから、「骨壺を見て毎日涙するのか?」と聞かれましたが、そんなことはありません。何事も諸行無常ですから。

まるの骨を庭に撒いちゃおうかとも思いましたが、この家もいつまで続くかわかりませんからね。

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