人はいつ死ぬかわからない。だからこそ、生きているうちに「やりたいこと」はすべてやっておきたい。しかしそれは、簡単には見つからないものなのかもしれない。「プレジデント」(2023年5月5日号)の特集「夢をかなえる習慣」より、記事の一部をお届けします――。

34歳で脳梗塞になって180度変わった「生」の価値観

人間と自然は別ではなく自然の中に人間がいる

大橋未歩さん(フリーアナウンサー)

脳梗塞を発症したときのことは、今でも鮮明に覚えています。夜寝る前に顔を洗っていたんですが、右手が左手に触れた瞬間、「あれっ?」と思ったんですね。左手の感覚がなかったんですよ。自分の体なのに、マネキンに触っているみたいな。

フリーアナウンサー 大橋未歩氏
フリーアナウンサー 大橋未歩氏(藤中一平=撮影)

「おかしいな」と思いつつ、洗顔クリームを取ろうと思って手を伸ばしたら、摑めずに床に落としてしまったんですよね。拾おうと思ってかがんだ瞬間、ガクンと力が抜けたように倒れて。家族がすぐに救急車を呼んでくれたんですが、大事にしたくないから「大丈夫」って言ったはずが「らいじょうぶ」と呂律が回らず、顔の左側の筋肉が、麻痺して垂れ下がっていたみたいなんです。

15分ぐらいでそれも薄れて、意識も鮮明になってきたのですが、後日MRI検査を受けたところ、4カ所の脳梗塞が見つかりました。原因は「内頚動脈の狭窄」によるもので、実はその2年前、番組で人間ドックを受診した際に、すでに病変は見つかっていたんです。ただ、「要経過観察」ということもあって、放置してしまっていて。今思えば、ちゃんと病院を回って調べるべきだったなと。そこから10日間入院をして、実家で療養した後、首にステントを入れるための検査入院、実際の手術などを含め、約8カ月間会社を休みました。幸い後遺症は残っていません。

ただそれまで、「仕事が生きがい」っていうタイプで、休みも欲しくなかったので、「働けなくなる」っていう現実を突きつけられたのがすごいショックで。働けない毎日を送っていること、番組に穴を空けていることに罪悪感を覚えて、入院中の期間はずっと司会者がいる番組は観られなかったですね。

発症したのは34歳で、体力的にも全然問題なかったんですが、当時は「精神面で疲れていた」ことも、原因のひとつに挙げられるかもしれません。「オリンピックの取材に行きたい」という動機でテレビ東京に入社して、ありがたいことにアテネ、北京、ロンドンと3大会の取材に行くことができました。ただ、その後「今後自分はアナウンサーとして何をしたいんだろう」と、目標を見失ってしまいまして。スポーツビジネスを学ぶために大学院(早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程)にも通うなど、キャリアを模索していましたが、どこか心と体がちぐはぐな状態が続いていましたね。

「プレジデント」(2023年5月5日号)の特集「夢をかなえる習慣」では、大谷翔平も使った、自分を劇的に成長させる方法「夢が実現した人は、なぜ実現したのか?」、運が悪い人は、絶対やらない「科学的に正しい『強運を呼ぶ』3つの行動」、億万長者になりたい、世界一周旅行に行きたい、起業で成功したい、病気を治したい……「7大願望◎毎日が楽しくなる『1日、1年、10年』計画法」など、人生が好転する内容が満載です。ぜひお手にとってご覧ください。