疲れを感じたときにはどうすればいいか。元陸上自衛隊心理教官で心理カウンセラーの下園壮太さんは「疲労には3つの段階がある。うつ状態の第3段階に落ちないためには、気持ちの波ができる第2段階の時点でしっかりと休息をとることが重要だ」という――。

※本稿は、下園壮太『50歳からの心の疲れをとる習慣』(日経BP)の一部を再編集したものです。

ベッドと目覚まし時計
写真=iStock.com/BrianAJackson
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疲労の「第1段階」と「第2段階」の違い

人生の後半になると、気持ちの波が顕著になってきます。それは「エネルギー」が低下してくるからです。

体を動かしたり、意欲を維持したりするのに必要な力のことを、私は「エネルギー」と呼んでいます。このエネルギーは年齢とともに低下してくるのです。

疲労には3つの段階があり、段階が進むと気持ちの波の大きさが変化します。

疲労の第1段階は、休むことによって回復できるレベル。第2段階は、うつっぽくなり、イライラし始めるものの、気合いでなんとか乗り切ることができるレベル。第3段階は、日常生活に支障が出る抑うつ状態です。

50代以降になると、もともとのエネルギーが減っているので、少し無理をするだけでもすぐに疲労の第2段階になってしまいます。第1段階では波はほとんど感じませんが、第2段階では波が大きくなってきます。

第2段階では、まずやる気を持続できなくなります。この段階では、本能は体を休ませようとするので、これ以上がんばれないように、やる気は自然となくなるわけです。このやる気の低下は、日常生活や仕事に地味に影響してきます。

気合いで復活しても、すぐにまた急降下

疲労の第2段階では、感じる疲労やストレスが2倍になり、冗談半分で言われたことでも受け流せなくなり、くよくよ思い悩んだり、いつまでも腹を立てたりしてしまうようになります。

ところが、このようにやる気がなくなり小さなことで落ち込んだとしても、第2段階ではまだエネルギーが残っているので、必死に気合いを入れて気分を変えれば、日常生活を送れるのです。

第2段階では、気合いを入れることで無理して気持ちのレベルを戻すことができるのですが、それは短い時間しかキープできません。そして、その状態を維持できなくなると、気持ちがガクンと下がる、ということを繰り返してしまいます。

これが「波」や「ムラ」を感じる基本的なメカニズムです。

つまり、「波が気になり始めた」人で、「やる気が持続できない」「傷つきやすくなったように感じる」という人は、疲労の第2段階、しかも限りなく第3段階に近いところにいます。このことにまず気づくべきでしょう。