ストレスだらけの自衛隊員のメンタル維持法

自衛隊における気持ちの浮き沈みへの基本的な対処法は、「できるだけコップにストレスをためないようにしておく」というものです。

自衛隊のような組織では、予期せぬストレスにさらされるのが当たり前です。ですから、生活を整え、コップに入っているストレスを事前に減らしておこうというわけです。日常生活におけるストレスをなるべく抑えるために、規則正しい生活や、清潔な休憩所、清潔なトイレ、寝具のある生活環境で温かい食事をとる、といった環境づくりを重視しています。人間関係のトラブルが生じても、できるだけ早く解消しておきます。

そしてもし、何らかの原因で感情の波が大きくなってきたら、環境を整えてしっかり休息をとって、復活を早めます。

家族や身近な人が波にさらされているときも、休める環境を整える手助けをすることが大切です。

伝えるべきは「がんばれ」よりも「休んで」

ところが、それとは正反対に、弱ってしまった人のことを「おまえは弱い奴だ!」とか、「責任感や使命感が足りないからだ」と責めると、相手はさらに疲れてその場から逃げたくなってしまいます。

ただ休ませる環境を整えれば復活できるのに、よかれと思って間違った方向に相手を責め立ててしまう、というのは残念ながらよく起こることです。

カウンセリングでさえも、疲労と精神状態の関係をよく理解できていないカウンセラーが不用意に応援して、相手をがんばらせてしまうことがあります。

早めに休めば1週間で復活できたはずなのに、カウンセラーに励まされてもう少しがんばってみようと無理を続けたばかりに、1カ月休まなければならないレベルにまで落ち込んでしまった、という残念なことが起こります。

疲労の第1段階のときには、発想を切り替えてがんばれば元気になることがあっても、第2段階にまで落ちているときは、同じやり方で乗り切ろうとすることはマイナスになります。

疲労と心の状態は強くリンクしています。私たちは原始人の部分をたくさん持ちながら生きているのですから、気持ちが落ち込んでいる人から相談を受けたときは、「がんばれ」と励ますことには慎重になり、しっかりと休むことの大切さをぜひ伝えましょう。