相鉄沿線住民以外にも恩恵が

神奈川県西部の住民にとっては、通勤・通学時間の短縮の恩恵にあずかれる。

相鉄沿線から都心方面への通勤時間が劇的に短縮されるのはもちろんのこと、JR東日本横浜線の〈新横浜―鴨居〉間、市営地下鉄ブルーライン〈新羽にっぱ―片倉町〉間の沿線住民は通勤・通学経路を相鉄・東急新横浜線経由に変えてゆくことも考えられる。

新横浜駅のブルーラインと相鉄・東急新横浜線の改札は同じ地下1階にあり、乗り換えが容易なのだ。新横浜駅の利用客数は急増するだろう。実際、相鉄・東急によると、新横浜駅は1日10万人の乗降人員を見込んでいる。

横浜アリーナ、横浜国際総合競技場など、イベントでの利用客増加も期待できる。すでに東急は新横浜発着の臨時列車を設定しており、万全の態勢を整えている。

神奈川県民にとっては県唯一の運転免許試験場の最寄り駅である相鉄線二俣川駅が近くなる。住まいの地域によっては横浜まで遠回りを強いられていたものが新横浜経由に変わることで近くなる。

写真提供=東急
相互直通運転の境界駅である新横浜は、相模鉄道と東急電鉄の共同管理駅になり、駅長も2人体制に

利用客増加の可能性を秘めた武蔵小杉駅

メリットとデメリットが入り交じるのが武蔵小杉だ。

今までJRユーザーが新横浜に行くには、横浜まで向かい、そこから京浜東北・横浜線もしく市営地下鉄を使うのが一般的だった。

東急新横浜線の開業で〈武蔵小杉―新横浜〉が直結することから、JR東日本横須賀線および湘南新宿ライン、南武線の沿線住民は武蔵小杉で乗り換えするようになり、利便性が格段に向上する。

このため、駅の利用客は今以上に増加するだろう。

武蔵小杉駅(南武線)の駅名標(写真=LERK/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

特に南武線は小田急電鉄小田原線乗換駅の登戸、東急田園都市線乗換駅の武蔵溝ノ口(東急は溝の口)は新横浜への短絡ルートになることから、ラッシュ時の〈武蔵中原―武蔵小杉〉の混雑率が上昇する可能性がある。

参考までにコロナ禍前の2019年度は182%、コロナ禍後の2020年度は120%、2021年度は112%である。

異なる車両編成

東急側も東横線の列車は8・10両編成、目黒線の列車は6・8両編成が混在している。

両線の列車が乗り入れる東急新横浜線は6・8・10両編成の3種類で、利用客にとってはややこしいと思うのではないだろうか(6両編成の列車は相鉄新横浜線に乗り入れず、新横浜で折り返す)。

将来、東横線の全列車10両化、目黒線の全列車8両化を図り、輸送力増強と混雑緩和を両立させたいところ。実現するには相互直通運転先の東京メトロ、都営地下鉄、埼玉高速鉄道、横浜高速鉄道の協力や理解が必要で、しばらくはこの状態が続くものと思われる。