コロコロ変わるは論外
富裕層が邦銀との取引を避け、外資系金融機関や大手証券会社、最近はやりのIFA(独立系資産運用アドバイザー)に流れる大きな理由には、担当や組織がコロコロ変わることが挙げられる。富裕層ビジネスを本腰入れてやるのかやらないのか、はっきりしないのだ。
長期・安定・保全取引を主とする富裕層からすれば、コロコロ変わるのは論外だ。いや富裕層でなくても、担当者や方針がコロコロ変わる銀行と取引をしたいとは思わないだろう。
折角、お互いに慣れてきて少しずつ打ち解けてきたのに、転勤や異動により担当者が代わり、また最初から挨拶し説明し、リレーションを構築するのは双方にとって面倒だ。
また、富裕層顧客からすれば、顧客情報の管理は大丈夫だろうか、しっかり引き継ぎがされているのかも心配になる。
今まで邦銀が、富裕層ビジネスを強化するというニュースは何度も目にしてきたが、成功しているという続報を聞いたことがない。こうした過去の動きも含め、邦銀が、富裕層ビジネスを長期的・永続的に行う意志と計画があるのか、富裕層はしかと見定めているのだ。
時間泥棒が大嫌い
長距離移動にプライベートジェットやヘリコプターを使うように、富裕層にとって時間はお金よりも大切という意識が強い。開示したくないのに、家族構成や資産内容や取引金融機関などを根掘り葉掘り聞かれ、担当者がコロコロ変わるたびに、挨拶を受けたりする時間そのものをもったいない、時間泥棒されたと考える。
また、営業担当者の金融知識やマーケット感覚が乏しいケースもままあり、そうなると面談時間が長くなり、話がかみ合わず時間を浪費する。ルールとはいえ、金融商品購入にあたり、ディスクレーマーやマーケットリスクなどの説明が長いことも避けられる理由の一つだ。結果的に、要領を得ておりサクサク話を進める大手証券会社や外資系金融機関の営業担当者やIFAが好まれることになる。