天才的な経営者は人格的に問題がある?

スティーブ・ジョブズ、イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス……。日本でいえばソフトバンクの孫正義など、イノベーションを生むトップ経営者というと、強烈な「個」を持つ人物が多いという印象はないだろうか。

なぜ大成功する経営者は「わがまま」なのか。今回、そんな疑問をぶつけたのは、「伝説のサラリーマン投資家」として知られる清原達郎氏だ。

清原達郎
清原達郎 Tatsuro Kiyohara 野村證券、ゴールドマン・サックス証券などを経て、98年、タワー投資顧問で「タワーK1ファンド」をローンチ。2005年の高額納税者名簿で全国トップに。著書に『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(講談社)。

清原氏は、投資顧問会社に勤める一介の会社員でありながら、2005年の長者番付(最後の高額納税者名簿)で全国1位に躍り出たことで知られている。昨年、自身が運営するファンドを閉鎖し、投資家として引退した清原氏は今年、著書『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(講談社)を出版。17万部を超えるベストセラーとなっている。

そんな清原氏に「ビジネスの成功と経営者の人格はどのように関係しているのか?」と聞くと、「イノベーションを起こすような天才経営者の話は私には理解できない」と謙遜しつつ、このように答えた。

「革新的なイノベーションを起こすということは、『一般常識とは異なるビジョンを描き、それを実現する強い意志を持って猪突猛進で突っ走る』ということ。だから、世の中では『個性的』と言われたり、時に『わがまま』に見えたりするのでしょう。何をもって『人格』と言うのかは解釈が分かれると思いますが、『他人の気持ちを慮る』ことが良い人格の構成要素なら、イノベーションを起こすような天才は人格的に問題があることが多い、とは言えるもしれません。

逆に、人格に問題がある人がイノベーションを起こせるというわけではもちろんありません。天才的な頭脳と強い意志が一致したとき、イノベーションが生み出されるのだと思います」