暴力事件が頻発する高校野球部

日本高野連、全日本大学野球連盟の上部団体である日本学生野球協会は、年に数回、審査室会議を開き「日本学生野球憲章」や諸規定に抵触した選手、指導者の処分を行っている。

そこでは、高校、大学の野球部員、指導者のさまざまな違反行為に対して処分し、発表している。

このうち、高校野球部の暴力・パワハラ関連の最近の事例を挙げるとこうなる。

2022年5月公表
山形南(山形)=監督(肩書は当時)の体罰と報告義務違反(謹慎 1月27日~2カ月)
寝屋川(大阪)=監督の体罰(謹慎 3月30日~3カ月)
高知中央(高知)=コーチの体罰(謹慎4月6日~1カ月)
星城(愛知)=部長の体罰と報告義務違反(謹慎 3月7日~4カ月)
葛飾野(東京)=監督の体罰(謹慎 4月26日~1カ月)
帝京八王子(東京)=監督の体罰と暴言、報告義務違反(謹慎 4月9日~2カ月)
船橋北(千葉)=監督の体罰と報告義務違反(謹慎 3月25日~4カ月)
城南静岡=部長の体罰と報告義務違反(謹慎 3月18日~4カ月)
2022年9月公表
金足農(秋田)=部内での部員のいじめ(外試合禁止 7月19日~3カ月)
稲毛(千葉)=監督の体罰、不適切指導、報告義務違反(謹慎 7月14日~7カ月)
上宮(大阪)=監督の体罰(部内)、報告義務違反(謹慎 8月11日~2カ月)他

まさに枚挙にいとまがない。

「体罰」とは要するに指導者から生徒に対する「暴力行為」のことだ。

甲子園に出場するような多くの有名校の指導者が生徒に暴力を振るって謹慎処分を受けていることがわかる。

処分の期間を見ると、コーチよりも部長、監督の方の謹慎期間が長い。また体罰を行ったことを報告しなかった「報告義務違反」がある方が、謹慎期間が長いことがわかる。

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どのようにして処分が決まるのか

日本高野連は加盟各校に対して、不祥事が発生した際には必ず管轄の各都道府県の高野連へ文書による報告をする義務を課している。

日本高野連は各校から上がってきた報告書を審議して必要な場合は日本学生野球協会に上申する。

上申された事案は、学生野球憲章の「処分に関する規則」に定められた内容で、日本学生野球協会審査室の審議を経て処分が決定される。

審議室がどのような基準で、不祥事の処分を決めているのか。日本学生野球協会の常務理事、事務局長の内藤雅之氏に聞いた。