「成城石井」化するローソン
実はこのあたりのマーチャンダイジング政策に一番個性が出ているのがローソンです。ローソンでは傘下にそれぞれ特徴的な店舗ブランドを有しています。中流の上の人たちに人気の成城石井、自然派・エコ派をターゲットにしたナチュラルローソン、低所得層の味方のローソンストア100といった具合にローソン含め4つの店舗フォーマットで広い客層をカバーしようというのが従来の戦略でした。
これは私の経済評論家としての観察事実ですが、この1年で中核であるローソンの店舗の品揃えが成城石井と同じ「中流の上」狙いに変わってきているのです。店舗の中央に大きく無印良品の売り場ができていて、ファミマのコンビニエンスウェアとは違った高品質で落ち着いた色合いの靴下や下着が置かれ、同時に無印良品が誇るちょっと贅沢で個性のある食品がずらりと棚を占めています。
その無印良品コーナーを離れると、ローソンのPB商品がやはり大量に配置されているのですが、セブンプレミアムやファミマルと違い、PB商品の単価やクオリティーが少し高めになっています。全体的に言うとナチュラルローソンの開発商品が棚に占める比率が増えているようで、スナック、おつまみ、スイーツなど、どのカテゴリーでも個性のある商品が目立つ配置です。逆に言うとローソンの店舗では100円程度で買えるPB商品の比率がセブン、ファミマと比較して非常に少ないように感じます。
ローソンはいち早く中流層に狙いを定めた
経営陣はそう口には出さないでしょうけれども、評論家の視点で店頭をチェックするとローソンはいち早く中流層だけをロックオンする商品政策に狙いを定めたのではないでしょうか。ローソンの場合、経済的弱者に対してはローソンストア100というソリューションが提供されているので、選択と集中は他のコンビニチェーンよりもやりやすかったのだと推測されます。
その結果、セブン、ファミマと比較してローソンは客数の減少が大きいのですが、それもおそらく想定の範囲内で、この先は無印良品とナチュラルローソンの商品力を武器にライバルのコンビニ2強とは違った個性を強めようとしているように思います。