コンビニの店頭でアパレルやスイーツなど高感度の商品が増えている。経営コンサルタントの鈴木貴博さんは「コンビニの客数が伸び悩んでいるため、各社はプチ贅沢な商品を手厚く取り揃えて個性を出すようになった。これは『コンビニでは高すぎて買えない』という貧困層が増えていることの裏返しだろう」という――。

700万足を突破したファミマの靴下は上質で丈夫

先日、ラジオ番組でファミリーマートのソックスの戦略について話をしてきました。番組のナビゲーターがファミマのソックスやTシャツのファンだということで、経済の側面からその話を深掘ってみようという話になったのです。

ファミリマートが税抜390円で販売しているラインソックス
画像提供=ファミリーマート
ファミリマートが税抜390円で販売しているラインソックス

実際にファミマのソックスは700万足を超える大ヒット商品になっています。売れ筋商品のひとつがファミマカラーである白地に青とグリーンのラインが入ったスポーツソックスで、これを身に着けてちらっと足元が見えるようにした写真がインスタに上がると、

「ああ、この人もファミマのファンなんだな」

というようにたくさんの共感がもらえるところも人気の秘密だそうです。

コンビニで売っている靴下やTシャツはつい最近までは緊急時の代替品でした。出張に出かけて下着を持ち忘れてきたとか、友人の家に急にお泊まりすることになったとか、それで深夜にコンビニで靴下を購入して翌日に備えるような利用シーンが中心でした。

ファミマのソックスはそうではなく、普段使いで使う人が買っています。商品がとても上質で、長く使えるのです。

インスタグラムで知りましたが水泳選手の池江璃花子さんはファミマソックスを全色揃えているそうです。なんとなく共感できるのですが、その理由はこのソックス、全色揃えたくなるような色使いの商品なのです。

新ジャンル「コンビニエンスウェア」を画策するファミマ

実はこのファミマソックスは、デザイナーとして世界的に有名な落合宏理さんを起用しています。落合さんと言えば独特な色使いに特徴のあるデザイナーさんです。

たとえば、ファミマソックスには赤い色のソックスがあるのですが、色名は赤ではなく「あかね」なんですね。他にも「ライムイエロー」や、ハロウィーンには「パンプキンブラック」など微妙に身に着けてみたくなる色を提案してくるのです。

ファミマは「コンビニエンスウェア」というブランドカテゴリーを新設しようとしています。Tシャツは「インナー用」と「アウター用」の2種類があり、インナー用は下着として薄くフィットする形、アウター用は少し厚手で夏はそれ1枚でもスポーティーで上質に見えるデザインです。今治タオルの色使いも独特で他では見かけない感じです。ファミマのコンビニエンスウェアはアパレルブランドとして際立っているのです。