セブンは「生き残る商品が良い商品」

その逆の話をしますと、セブン‐イレブンの中興の祖である鈴木敏文さんがかつて「コンビニの商品は面白くなくてもいいんだ」という趣旨の発言をされていたことがありました。もちろん商品開発の重要性を踏まえたうえでの逆説的な発言なのですが、要するに「本部がいろいろと頭を絞って季節のフェアやプレミアムな商品を開発するが、最終的にはデータが生き残る商品を決めるのだ」という話でした。

データに基づいて死に筋商品が棚から消えていき、顧客が選んだ商品だけが残っていく。そうすると意外と面白くない商品だけが残ることがあるのだけれど、それがコンビニなんだ、というようなかなり深い話だったと記憶しています。

そう考えると、セブンの商品ラインアップはローソンとは対照的です。典型的なのは金色のパッケージでおなじみの「セブンプレミアムゴールド」シリーズです。セブンプレミアムゴールドには緑茶はあっても烏龍茶はありません。ボロネーゼはあってもカルボナーラはなく、ビーフカレーはあってもキーマカレーはありません。生き残ったプレミアム商品だけがゴールドを名乗るのです。

そして同じカレーのカテゴリーにはボンカレーよりも安いビーフカレーもありますし、カップ麺のコーナーにはカップヌードルよりも安いセブンプレミアムのカップ麺もあります。商品企画側がどの所得層の顧客をターゲットにしようかと商品ラインアップ戦略を考えるのではなく、データが生き残る商品を決めるので、セブンプレミアムのラインアップと価格帯は幅広くばらけてまだら模様になってしまうのです。それが良いと考えるのがセブンらしさということでしょう。

「セブンのまね」からの脱却を図るファミマ

さてここでファミマの話です。ファミリーマートという会社は長らく業界リーダーのセブン‐イレブンに対するフォロワー戦略を意図的にとってきたように見えます。フォロワー戦略とは、個性を出すのではなく、リーダー企業と同じであることをアピールするやり方です。

たとえば、ファミマルの食品カテゴリーを眺めるとほぼセブンプレミアムと同じような商品が並び、上質なハンバーグやビーフカレーなどセブンと同じような商品が金色の「ファミマルKITCHEN PREMIUM」に認定されています。もちろんちょっとだけ差を出そうとセブンにはないグリーンカレーを金に認定したりしているのですが、基本的にはセブンと同じようになるように力を注ぐ――。それが20年前ぐらいから2年前ぐらいまでのファミマの特徴だったと私は見ています。