マーケティング戦略は敗北

この惨状を止める手立てはないのだろうか? 厳しい状況が続いているが、希望はある。

1つは日本のブランディング戦略だ。世の中には数多くのスマホメーカーがあるが、アップルのマネをしてもアップルの代わりになれない。これは同社のブランディング戦略が功を奏しているからである。

海外の人たちに高級ギフトの文化を受け入れさせるのは難しいが、日本のフルーツのプレゼンスを高めておくことで「本物は日本」という認知をさせることができるだろう。そのためには、流出前にブランディング戦略を構築しておくことが重要だ。

しかし、現状はかんばしくない。海外マーケティングは中国や韓国が早く腕も良い。あたかも彼らが先に出したもののように見られてしまう現状を許している点においては、日本の海外マーケティングの敗北といえるかもしれない。だが努力はしている。

農林水産省によると、年々ではぶどうやいちごなどの海外輸出は、右肩上がりに伸び続けているという。一部の品種では健闘しているものの、まだまだ伸びしろはある。つまり、ビジネス力そのものを高める必要があるだろう。

取り締まりに時間がかかりすぎている

もう1つには、流出を思いとどまらせるような仕組みが必要だ。現状では、盗んだもの勝ちの状況が続いている。

中にはお金目当てで日本人主導で流出の手引きをしていると見られるケースすらある。このように野放し状態ではなく、極めてスピーディーに取り締まりができるよう必要な法規制を敷くことが肝要だ。

そうすることで、「盗んでもすぐに見つかる。重い処罰を受ける」となれば、簡単には流出しようとは思わない。そのインセンティブが働かないための政府主導の対策が必要だろう。たとえば厳罰化で高価なペナルティを課せるようにするなどで、利益を追求しづらくするような施策はできないだろうか。