「自分と似ている人」を選ぶ上司は人材の目利きではない
それでも、何かヒントはないのか。食い下がってみると、こう教えてくれた。
「(人材の目利きではない)上の世代の中には、『物事に前向きな姿勢がある人』『自分とよく似ている人』『ノリがいい人』をポテンシャルが高く管理職に向いている、と主張しますが、それは勘違いであることが多い」
結果、そうした非目利きの上司がせっかく引き上げても全然うまくいかず、誰ひとり幸せにはなれない。ダメージを負うだけだ。
20代の課長を誕生させるのは早期の特別教育はもちろん、ポテンシャルの見極めが重要な鍵だ。単に登用要件を緩和したり、公募制を導入したりと人事制度を変えただけでは成功できないことは、冒頭で触れた企業も当然承知しているに違いない。
もし、その認識や覚悟がなく、半ば強引に20代の課長を誕生させてしまったら、最悪のシナリオは、若き課長が部下のマネジメントに失敗し、自分のキャリアにも傷をつけ、チームの業績は右肩下がり……。
ただでさえコロナ禍で厳しい中、会社は新たな損失を被って足を引っ張られる恐れもあるのだ。