入社6~7年目で年下年上の部下やチームを牽引できるか

大企業のライン課長であれ、通常5~8人の部下を率いる。課長の役割は部下の指導・育成だけではなく、プレイングマネージャーとして課の業績責任も問われる仕事だ。

リクルートマネジメントソリューションズが調査した管理職に期待する役割のベスト3は以下の通りだ(管理職層回答)。

「メンバーの育成」(46.0%)
「担当部署の目標達成/業務完遂」(32.0%)
「業務改善」(30.7%)

なかなかハードルが高い。そのほかに「メンバーのキャリア形成・選択の支援」「担当部署のコンプライアンス・勤怠管理の徹底」「部署内の人間関係の円滑化」などの役割を担う。もちろん部下の給与・昇進に関わる人事評価とフィードバックも重要な仕事だ。

自分のことだけでなく、部下育成にも気を配らないと任務を果たしたことにはならない。

日の当たる場所で自信ありげに腕を組む男性
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こうした仕事を新卒入社6~7年目で担うのは大変だろう。しかもこうした役割をこなせると見なされるには経験と知識の蓄積が問われる。

都内のサービス業の人事部長はこう語る。

「営業であれば、困難な要求を吹っかける顧客などさまざまな取引先との交渉を経験する。さらにチーム長としてプロジェクトの案件を何件かこなし、リーダーシップや専門性を磨いていく。場合によってはジョブローテーションによって違う部署で経験を積むこともある。一般的に主任、係長を経て課長になるわけだが、課長の登用条件を満たすには最短でも10年かかるのが普通だ」

今の仕事の仕組みを考えると確かに10年程度はかかるかもしれない。しかしこの10年も必要条件であって課長になる十分条件ではない。

労務行政研究所の「等級制度昇格・昇進、降格の最新実態」調査(『労政時報』22年6月10日)によると、一般社員層から管理職への昇進候補者決定で考慮されるのは「人事考課の結果」と「上司からの推薦」が最も多い。少なくとも人事考課結果がトップクラスであることが求められる。

その上で昇進・昇格の判断は「社内の会議」で行われる。

特に従業員1000人以上では「候補者の選定・昇格判定を行う会議体」を設置している企業は73.2%に上る。