標準登用年齢の平均は課長で41.8歳、部長で49.3歳

冒頭に紹介した登用要件の緩和や公募制導入企業でも、上司の推薦は別にしてもおそらく人事考課をベースに社内会議で決定するプロセスは変わらないだろう。

しかも現状、昇進年齢はそれほど早くない。調査によると、標準登用年齢の平均は課長クラス41.8歳、部長クラス49.3歳となっている。最短登用年齢は課長クラスなら平均35.5歳、部長クラス42.1歳だ。日本社会では、最短でも20代課長を輩出するのは容易ではないことがわかる。

もちろん企業もそれでよいと思っているわけではない。

欧米企業の経営層に比べて年齢の高い経営層の若返りを図る取り組みも以前から実施している。ただし、一定の経験と知識が必要な管理職に誰でもよいから抜擢すればよいというものでもない。

ビジネスマン同士で握手
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経営幹部となりうる若手社員を早期に選抜し、配置と研修による次世代経営者教育を実施してきた大手企業も少なくない。若手の優秀なビジネスパーソンの早期抜擢について何らかの取り組みをしているのは従業員1000人以上の企業で26.3%もある。

日本企業の喫緊の課題は「経営層の若返り」を図ることだ。これを進めるには最初の登竜門である課長昇進年齢を早める必要がある。

ところが、労務行政研究所の調査(2022年)によると、5年前(2017年)と比較した昇進スピードの変化は課長クラスへの昇進では「速くなっている」と回答した企業はわずか17.8%で、「変わらない」が73.1%と大多数を占めた。結局、早期選抜教育の重要性はよくわかってはいるけれど、なかなか実現できないのだ。

なぜ、うまくいかないのか。