ようやく下った処分

衆院法務委員会の席上、古川氏は市村氏への答弁で、次のように断言した。

「生徒(留学生)の進路を妨害する行為、生徒に対する暴力、高額な賠償金について誓約させる行為などは、日本語教育機関の告示基準第2条に定められている〈抹消の基準〉の人権侵害行為に相当すると考えられる」

つまり、3件とも「違反」で、留学生の受け入れが禁じられるべきケースだと、古川氏が認めたわけだ。そして古川氏はこうも続けた。

「(日本語学校が留学生の)立場が弱いことにつけ込むなど、日本人の名誉にかけてあってはならない。職員を督励しながら、私が先頭に立ってやっていく」

この答弁から4カ月半を経て、西日本国際教育学院にまず処分が下る。処分があった翌日の9月8日、「西日本新聞」はこう書いている。

<西日本新聞が昨年12月、動画について報じると、国会でも取り上げられ、今回の処分につながった>

同紙は自らの記事が国会を動かし、同学院が処分されたと考えているようだが、その判断は読者に委ねたい。

全国の大学よりも多い日本語学校と“偽装留学生”

入管庁が「告示校」として留学生の受け入れを認める日本語学校は、今年1月時点で816校に達し、10年間で2倍以上に増えている。その数は全国の大学よりも多い。

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コロナ禍前の数年間、留学生は急増した。安倍晋三政権が「留学生30万人計画」を成長戦略に掲げ、留学生の受け入れを進めたからだ。同政権が誕生した2012年末には約18万人だった留学生は、7年後の19年には35万人近くまで膨らんだ。

こうした留学生の急増は、ベトナムなどアジア新興国出身の留学生が大幅に増えて起きた。その中には、出稼ぎ目的で、留学費用を借金に頼って来日する“偽装留学生”が数多く含まれる。

留学ビザは本来、アルバイトなしで日本での生活を送れる経済力がある外国人に限って発給される。だが、その原則を守っていれば留学生は増えず、30万人計画も達成できない。

そこで政府は、ビザの発給対象にならないはずの“偽装留学生”にも入国を認めてきた。彼らがビザ申請時、経済力を立証するために提出する書類が捏造ねつぞうだと気づきつつ、ビザを発給するのだ。留学生を増やし、彼らを低賃金の労働力として利用する目的からである。