日本語学校の横暴に歯止めがかからない根本原因
“偽装”を含めて留学生が急増し、最も恩恵を受けたのが日本語学校だった。営利追求のため、たとえ偽装留学生であろうと喜んで受け入れる学校はいくらでもある。
偽装留学生は勉強そっちのけでアルバイトに励む。バイトをかけ持ち、留学生に許される「週28時間以内」の就労制限に違反して働く者も多い。
そうした違法就労の後ろめたさから、人権侵害の被害に遭っても声を上げようとしない。違法就労が入管に知られ、母国へ送還されることを恐れるのだ。
そんな事情もあって、日本語学校の横暴に歯止めがかからない。ホアン君が「鎖拘束」動画をFacebookに載せ、外部に助けを求めたのも、彼が偽装留学生ではなかったからにほかならない。
留学生の「数」を求める岸田首相の誤り
岸田文雄政権は「留学生の受け入れ再開」を前面に押し出し、水際対策緩和を進めた。15万人に上った入国待機中の留学生を早急に受け入れるため、優先的な来日までも認めた結果、留学生の入国ラッシュが巻き起こった。
同政権はコロナ禍前よりも留学生を増やす方針だ。8月29日には、岸田首相自ら永岡桂子文部科学大臣に対し、従来の30万人計画を見直し、留学生の受け入れを拡大するように指示した。この方針によって、今後起きることは目に見えている。偽装留学生の再流入である。
留学生が増えれば、日本語学校は大喜びだ。産業界にとっても、低賃金の労働力が確保できる。だが、留学生の「数」を求める政策は本当に正しいのか。
海外で日本の評判が落ち続けていることを知らない日本人
「日本人の名誉にかけてあってはならない」
国会で古川氏は答弁したが、その「あってはならない」人権侵害が、日本語学校では横行している。それも本をただせば、「30万人計画」で強引に留学生を増やした弊害なのである。
ベトナム人の多くが利用するでFacebookは、留学生たちの日本での悲惨な暮らしぶりが拡散している。「鎖拘束」についても、学校処分のニュースを含めベトナム語に訳され広まった。現状を放置していれば、日本の評判が落ちるばかりだ。
留学生数を増やすよりも、岸田政権には直ちにやるべきことがある。それは留学生受け入れ現場、とりわけ日本語学校の闇にメスを入れることだ。「鎖拘束」問題への処分を「トカゲの尻尾切り」で終わらせてはならない。