安倍氏の義理に篤く、丁寧な態度…が裏目に出たのか

浄土宗にとって浄光会はロビー的な側面をもつ。他方、多くの議員には浄土宗の教えを政治に盛り込もう、といった思惑はない。あくまでも、地元の菩提寺の住職を巻き込んで、票田を狙っているだけだ。

とはいえ、浄光会の総会では早朝、増上寺大殿(本堂)で朝のお勤めに参加し、宗祖法然上人の遺言「一枚起請文」を読むのが決まり。その後は、今回の安倍氏の密葬が実施されたのと同じホールへと移動し、「朝粥会」と呼ばれる懇親会が開かれる。

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安倍氏は現役総理の時こそ代理を立てていたものの、首相の座から退いてからは毎年、ほぼ欠かさず参加している。むしろ、会員の中では熱心な部類といえる。形式的に朝粥会に参加して、早々に中座していく議員が多い中、安倍氏は最後まで席を立たないことが多かった。安倍氏は義理にあつく、場を大事にした人物といえばそうかもしれない。

だが、今回の惨事は、そうした安倍氏の丁寧な態度が裏目に出たのかもしれない。統一教会と安倍氏との関係は祖父、岸信介元首相の時代にさかのぼるという。

統一教会の元会長、郭錠煥(カク・ジョンファン)氏は7月19日、ソウルで記者会見し「(統一教会創設者の)文鮮明総裁は安倍氏の祖父の岸信介元首相や父の晋太郎氏と近かった」と述べている。安倍氏にとってみれば、祖父や父からの「近からず、遠からず」の関係を受け継いだだけのことだったのだろう。

繰り返すが、国会議員は宗教の票田を狙い、宗教側も権力を利用するという構図だ。安倍氏サイドにとってみれば、統一教会も票田のひとつに過ぎなかった。いま多くの国会議員が、統一教会との関係を指摘されているが、安倍氏のケースと同じ構図だ。