山上徹也容疑者(41)の母親はなぜ、旧統一教会への入信を続けているのか。元信者だったジャーナリストの多田文明さんは「夫や長男の自殺といった家族の悲劇や、次男による凶行事件は、母親が宗教にのめりこみさえしなければ避けられたように思います。母親自身もそれを理解しているはずですが、頭の中は完全に教義につかっており、簡単に抜け出せない状態です」という――。
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自分のせいで家族が破綻…なのに信者をやめない理由

安倍晋三元首相を綿密な計画で銃撃した山上徹也容疑者(41)。すでに報じられているように、その動機については旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)に入信した母親が約1億円を献金したことで家庭が破綻したこと、また、元首相のことを教団のシンパであると考えたことがあるとされています。

容疑者ファミリーが歩んだ歴史は壮絶なものです。容疑者の父と兄は自殺、本人も自殺未遂。そんななか、母親は宗教にのめりこみ続け、自宅などを売り払ってまで献金。現在も旧統一教会に在籍し、年金から献金しているといった報道もあります。下記は、現在までに報道されている容疑者ファミリーの主な歴史です。

容疑者のファミリーに起きた出来事】(参考文献『週刊新潮』(7月21日号)ほか)
父親:京都大学卒で、会社を経営していたが、母親(妻)が別の宗教にのめりこんだことを苦に自殺。
:7年前に病を苦に自殺。
母親:夫の生命保険、実父から相続した事務所や自宅を処分し、さらに献金
容疑者本人:自衛隊に入隊していた任期中に自殺未遂事件、奈良県で安倍晋三元首相を銃撃。

家族の悲劇は母親が宗教にのめりこみさえしなければ避けられたものも多いように思われます。

なぜ、自分の大切な家族がつらい目に遭い、息子が自死を選択し、さらに元首相の殺害行為に及んでしまったのにもかかわらず、母親は信仰をやめることをしないのか。不可解に思う読者の方も多いのではないでしょうか。

カルト的な思想を宗教にハマる人の心のメカニズムとはいったいどんなものなのでしょうか。