プラーク中の細菌数は、肛門よりも多い
プラークは、食事後に口の中に残る食べカスではありません。
口の中で増殖した歯周病菌やむし歯菌などの微生物のかたまりです。
もし今、まわりに誰もいなければ、自分の歯の根元を、爪でこすってみてください。
白っぽいネバネバしたものが取れませんか? これは食べカスではなくプラークです。
もともと、口の中には、100億の細菌がいると言われています。この数は、肛門にいる細菌の数より多いそうで、歯のケアが不十分で口の衛生状態が悪い人の場合は1兆を超えるそうです。
ちなみに、わずか1mgのプラークの中に、多い人ではなんと数兆もの細菌が潜んでいます。これは肛門にいる細菌の数どころではありません。かなり恐ろしい数字ではないでしょうか。
食後8時間でできるプラークは、24時間で歯石になる
歯周病菌やむし歯菌などの細菌は、口の中の食べカスをエサにして増殖します。食後4~8時間程度でネバネバとした粘液を出すプラークとなりますが、そのまま放置するとさらにすごい勢いで増殖し、約24時間後には石灰化して「歯石」となります。
プラークは日本語では「歯垢(歯の垢)」と言いますが、この「垢」から水気が抜けて、硬い「石」になるわけです。
ネバネバしたプラークは歯みがきで落とすことができますが、硬い歯石は歯みがきではとることができません。
また、歯石の表面は、歯の表面よりザラザラしてひっかかりがあるため、歯よりもずっとプラークが溜まりやすくなります。つまり、歯石が溜まると、より歯周病になりやすくなるのです。
歯周病が起こす口の中の「ボヤ」が、全身に飛び火する
プラークが溜まって歯周病が進行すると、歯肉が赤く腫れてきます。本来、健康な歯肉というのはピンク色をしているのですが、歯周病患者の歯肉はいつも真っ赤です。
これは、歯肉に軽度の炎症――つまり「ボヤ」――が常にあるということです。
ボヤを消さずに放置したら、どうなるでしょう? 当然、さまざまなところに飛び火しますよね。
人間の体内でも、同じことが言えます。口の中のボヤが脳に飛び火すれば認知症に、心臓に飛び火すれば心筋梗塞を引き起こします。
ですから、歯周病予防のために、歯石になる前に、プラークを落とす歯みがきをする必要があるのです。