成績が伴わなかったからといって「もっと頑張る」のはNG

また、やみくもに頑張ることはもう1つの大きなミスを誘発させてしまいます。それは、「もっと頑張ってしまう」ことです。自分が頑張っても結果が思うように出なかったときに、「頑張りが足りないから、もっと頑張らないと」と思ってしまうのは間違っています。

一度は聞いたことがあるかもしれませんが、何か業務を行うときに用いられる「PDCAサイクル」というものがあります。仕事の効率を上げるための考え方で、「計画(Plan)を立てて実行(Do)して、それを振り返り(Check)した上で改善(Action)する」というサイクルを徹底することで、次に活かしていくものです。

勉強においてもこれと同じように、「計画を立てる」「実行する」「振り返る」「改善する」という流れの思考が必要になるタイミングがあります。そして、このPDCAサイクルで一番大切なのは「Check」のときなのです。

自分の勉強で効率が悪い部分や意味がないものを、どんどん削っていく姿勢を持たなければならず、逆にうまくいったポイントからそれを吸収しなければなりません。

ですが、「とにかく頑張っている」人は、このCheckの場面で「もっと頑張らないと」という間違ったCheckをしてしまうのです。

具体的な目標を定めた勉強を積み重ねるべし

頑張ることはいいことですが、間違った方向への頑張りではどんどん無駄な時間が過ぎていき、結果の伴わないPlanとDoだけを繰り返してしまうことになります。つまり、しっかりと効率的に勉強していくためには、この「根性論の頑張り勉強」では意味がないのです。

「どうすればテストで良い点数が取れますか?」という質問をされることがありますが、「じゃあその『良い点』ってのは何点のこと?」と聞き返すと、答えられないことがとても多いです。

「良い点取れればいい」と思っているかもしれませんが、それはどの科目のどの分野のどの問題で何点取ることなのか、明確になっていないからダラダラした勉強になってしまうのです。

東大生はこの「目的」作りがしっかりしています。ほかの人より何倍も努力の「目的」の明確化に対する力を持っているのです。

東大カルペ・ディエム『東大大全』(幻冬舎)

例えば、東大生は模擬試験でも本番でも同じように、各科目・各大問の目標点数を1桁レベルで明確に設定しています。「英語のこの問題は自由英作文で12点の配点だから、7点獲得できればいいはずだ。これにかけられる時間は12分程度なので、12分で7点取れるようにこの範囲の訓練をしておこう」というふうに、すべての問題でこのレベルの細かい目的明確化を実践しています。

必要なのは目的意識です。「どのゴールのために何問解くのか? 何個終わらせるのか? 何が終われば今日は目的達成で、どういう状態になるのが理想なのか?」。がむしゃらに勉強を頑張るのではなく、具体的な目的を考えた勉強を積み上げていくことで、成績が一気に向上していくのです。

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