そして、この「分解」は、細かくすればするほど、つぎの行動をイメージしやすくなる。そのため、一度分解したら、「もう一度分解できないか?」と考えるクセをつけるべきだ。

仕事が遅い人はフローの分解ができていない

たとえば、先の球速のケースにおいて、分析した結果、「筋力に問題がある」とわかったとしよう。その場合、さらに「どの筋力に問題があるのか?」を分解して考えるべきだ。それは、肩なのか? 背中なのか? それとも、下半身なのか? 下半身なら、それは、大腿だいたい筋なのか? それとも、違う部位なのか? こんなふうに、どんどん分解して考えるのだ。これが【分解の法則】のもっとも基本的なステップになる。

そもそも、なぜ仕事が遅い人がいるのかというと、この【分解の法則】が徹底できていないケースがほとんどだ。

たとえば、1つ企画書をつくるにしても、その企画書が完成するまでには、細かく見れば10以上のフローが存在している。ただ、仕事が遅いと言われる人は、往々にしてこのフローを分解して考えていない。というか、【分解の法則】を習ったことがない。だから、遅い。そして、分解ができていないと、どこに自分の課題があるのかがわからず、ぼんやりとした作業しかできないのだ。

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「記憶」と「記録」を使いこなす

さて、【分解の法則】のつぎはどうすべきだろうか? それは、「測る」ということだ。【計測の法則】と呼んでいるもので、スピードアップさせる法則の3つめだ。

まず、【計測の法則】を定義すると、「分解したことを、要素ごとに、客観的に記録する」「数字や変化をメモする」となる。

このとき大事なのは、「記憶」と「記録」をくり返すことだ。「記憶」はとても主観的でぼやけがちだ。「あなた」が覚えていることや感じていることだからである。一方で、「記録」は客観的だ。「あなた以外の他人」から見ても、定義が明確なことだからである。

たとえば、「昨日は帰宅が遅くなった」というのは記憶である。なぜなら、「遅く」というのは人によってイメージする時間が異なるからだ。一方で、「昨日は23時に帰宅した」というのは記録である。なぜなら、23時という、定義が明確な数値で表現されているからだ。

「きおく」と「きろく」は1文字しか違わない。でも、決定的に違う。そのうえで、とにかく、「記憶」を「記録」に落とし込むべきだ。この一連の作業を【計測の法則】と呼んでいる。