愛する人の死を受け入れる5つの方法
1,苦しみを離れたければ、現実を知る
仏教の根本には、いつも「諸行無常」の真理があります。
諸行無常とは、「あらゆる事象が、死滅に向かって変化し続けている」という意味です。
諸行無常であるがゆえに、命は生まれた瞬間から死につつあります。
世界では、1秒間に2人が死亡している、と言われています。
老衰だけが死因ではありません。戦争で、病気で、事故で、震災で、人が亡くなったというニュースを、毎日のように見聞きしている私たちですが、その死はいつも他人事。
まさか自分の身に、自分の愛する人の身に、死が訪れるとは、夢にも思っていません。
それどころか、自分だけは死なないという態度で、現実を見ようともしない。
ブッダは、その態度を「無知」と呼び、「無知こそが苦しみを生む」と指摘したのです。
2,死の受容過程を知る
アメリカの精神科医に、エリザベス・キューブラー=ロスという人がいます。
彼女は『死ぬ瞬間』という本を著し、死に瀕した人々が、次のような5つの段階を経て、自らの死を受容していくことを論じました。
第1段階:(否認)死を否定し、周囲の人と距離を置くようになる
第2段階:(怒り)死が否定できないと自覚し、「どうして自分が」と怒りを覚える
第3段階:(取り引き)死から逃れるため、何かにすがって取引しようとする心理
第4段階:(抑うつ)死から逃れることはできないと悟り、抑うつ状態になる
第5段階:(受容)死を受け入れ、心に安らぎが訪れる
「わたし」とは記憶の塊です。生まれてから今までの、心身に刻まれた様々な記憶。
それが「わたし」です。だから永年寄り添った人の死は、「わたし」の一部が死ぬことを意味します。
それが突然やってきたとき、私たちの心は、ロスが示したように、激しく揺さぶられる可能性がある。
そう知っておくことは、愛する人の死を受け入れる上で、大いに役立つことでしょう。